無題

先端を軽く唇で挟みもう一方の先端に火をつけ息を吸い込む
体中に微量に重い気体がしみ込んでいくのを感じる
一瞬だが体内の細胞が硬直し脳が活動を停止する
その後深くため息をつく
口から吐き出された白い煙は暗闇のなかあてもなくさまよい姿を消す

この行為が体に害をおよぼすことは誰でも知っている
ただ
一回のため息に救われるこよがあるということを
知っている人は少ない

気がつくと僕は深い海の底にいる
そして今日もため息をつく